ドコモの「信用スコア」・・・またアメリカの真似っこか

ドコモが来春から金融機関に「信用スコア」というデータを提供し始めるという報道がありました。

以下、日経新聞ウェブサイトからの引用です。(引用元:https://www.nikkei.com/article/DGXMZO3658458017102018TJ1000/)

NTTドコモは17日、スマートフォン(スマホ)の利用状況などを解析し、個人の「信用スコア」を算出する金融機関向けサービスを来春から始めると発表した。金融機関は信用スコアを使い融資条件を利用者に示せる。携帯市場は需要の頭打ちと、楽天参入で競争が激しくなる見込み。約6700万人の顧客基盤を強みに金融サービス分野の開拓を急ぐ。
新たに始める信用スコアサービスは、利用者の同意に基づいて、回線の利用期間や携帯料金の支払い履歴などからはじいた信用スコアを金融機関向けに提供する。金融機関はスコアが高いほど利息や金利を低くするといった融資が可能になる。契約者向けアプリケーションはマネーフォワードと共同開発した。
まずは新生銀行と提携し、同社が19年3月に始める新たな融資サービスに活用する。同日会見した新生銀行の工藤英之社長は「携帯電話事業者が持つ切り口の違うデータを組み合わせることで、精緻な融資が可能になる」とドコモと組む利点を強調した。ドコモの吉沢和弘社長も「金融機関は顧客一人ひとりにあったサービスを提供可能になる」とメリットを語り、提携先をさらに増やしたい考えを示した。
(以下省略)

このニュースを見てまず思ったことは「ソーシャルセキュリティナンバーの次はクレジットスコアをアメリカから導入か」ということです。

2015年から日本国内に住民票がある人を対象にマイナンバーの通知が始まりましたが、これはアメリカのソーシャルセキュリティナンバーの日本版と言えます。

住基ネットの議論がされていた時には「国民総背番号制だ!」と猛反発があったのに、マイナンバーは意外と静かに始まったな・・・というのが個人的印象です。

日本に先立ちアメリカではソーシャルセキュリティナンバー(通称SS)というものが導入されており、アメリカで暮らすためには不可欠となっています。アメリカ国民だけではなく、俺のようにビザで居住する住民ももちろん対象です。

このSSは、雇用時には会社に申告しますし、銀行口座を開ける時も、ローンを組み時も、クレジットカードを作る時も、ありとあらゆる場面で必要になります。

つまり国は、俺がどこで雇用されており、いくら給料をもらい、銀行預金がいくらで、借金がいくらで、どう資産運用しているかなどを全て1つの番号だけで把握できるわけです。

アメリカ居住者は、アメリカ国外で銀行口座を開く時もアメリカのSSを申告する義務があります。アメリカ外であっても課税逃れや隠し資産を持つことは許さんぞ・・・ということですね。

日本のマイナンバーは総務省のウェブサイトによると「行政を効率化し国民の利便性を高め公平公正な社会を実現する社会基盤です」と説明されています。

公平公正な社会を実現ってところがミソで、要するに「全ての国民は公正に税金払えよ、隠し事は許さんぞ」ってことですね。

さて、そこでマイナンバーの次に今回登場したのが「信用スコア」です。これもアメリカにはクレジットスコア、という名前で存在しています。

いくつかの信用情報機関が存在しているのですが、それらはSSで紐づいたローンやクレジットの状況で、各住民の信用度を数字で提示しています。

俺もアメリカの一部であるグアムで生活していて、このクレジットスコアに翻弄されたことは過去書いた通り。


先ほど引用した日経新聞の記事にドコモ社長の「金融機関は顧客一人ひとりにあったサービスを提供可能になる」という発言がありましたが、これ、「金を好条件で貸せる人、悪い条件なら貸してもいい人、貸しちゃいけない人の区別ができるようになる」ってことですよね。

この、「悪い条件なら貸してもいい人」、英語でなんていうかわかりますか?

「サブプライム層」です。

そうです、誰もが聞いたことがあるサブプライムローン問題のサブプライム。

サブプライムローン問題ってのは簡単にいうと、信用度の低い人に悪い条件で住宅ローン組ませたら案の定支払いできなくなって金融機関や投資機関が大損食らっちゃったよ、って問題です。

日本でもアメリカと同じように信用スコアを導入してサブプライム層を明確化したらどうなるんでしょうね。

サブプライムローン問題を見ているわけだから、同じ轍は踏めないですよね。つまり、高金利などの悪条件でサブプライム層にローンを組ませる、という商戦は金融機関は取れないはず。

となると、相応の担保や保証がない限りは、サブプライム層はローンが組めない、借金できない、という状況に追い込まれますね。

日本人的感覚だと「無理して借金するのは良くない。身の丈にあった人生を」って思うでしょうが、それは最低限生きていけるセーフティネットがあった上でのこと。

アメリカではどんなセーフティネットが用意されているのかというと「フードスタンプ」と呼ばれる生活保護があります。条件や内容には違いがありますが、およそ生活保護みたいなものです。

これ、アメリカでは全国民の15%弱が受給している、というデータがあるそうです。比較すると、日本の生活保護受給者は人口のおよそ2%です。

さてさてさてさて。そんなに多くの国民が生活保護を受給しているアメリカですよ。そんなアメリカの制度を日本はどんどん真似っこしていっている・・・というわけですね。

ドコモが今回信用スコアを導入するというのは、マイナンバーの先にアメリカ式のクレジット制度も導入、拡大されるだろうという予想の上で、自分たちがいち早くその基盤を作っておこう、という戦略だと思われます。つまりマイナンバーの先には「成長分野」が転がっている、と踏んでいるんでしょうね。

企業として成長分野にいち早く着手するってのは正しいと思いますが、信用スコアが拡大運用され始めたら、きちんと国民に情報を提供し、国会などで議論をしてからでないと怖いな、と個人的には思います。

最後に責任逃れしちゃいますけど、俺、金融も社会制度も素人。ここまで書いた情報は聞きかじりだし、意見も素人考えです。

このブログは情報提供を目的としたものではなく、あくまで問題提起だけを目的としていること、全てはあくまで俺が信じている情報と俺個人の考えである点、ご了承ください。

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