今はもう辞めていますが、航空会社で働いていた頃は台風が来ると、家族より家よりフライトをまず心配するのが当たり前でした。
「台風来てるぞ来てるぞ。本社のディスパッチ、早く欠航決めてくれよ」
「飛行機とめといて大丈夫かな。他の空港に避難させたほうがいいのかな」
「PAXみんな欠航の連絡受け取ってるかな。万一Show upしたPAXのための案内カウンター開けたほうがいいかな」(PAX = 旅客)
「クレームくるかなぁ。天候による欠航は航空会社免責ですって記載されてる運送約款のコピー念のためポケット入れとこ」
「台風で空港来れなくなるといけないから、今夜は空港ホテルとまるべきかな」
「台風の影響長引いてて今夜も帰れない。。。空港内のコンビニで明日用のパンツと靴下買ってこないと、、、」
「あ!ステイしてるクルーをどうするかクルースケジューリングに聞いとかなきゃ!」
どこの航空会社も、何人かが空港泊まり込みで対応にあたります。
バックヤードの廊下でコンビニの袋抱えてトボトボ歩く他の航空会社スタッフみると「お互い大変ですねぇ」って目で会釈します。
さっさと欠航の決断をする航空会社がうらやましいです。
ぎりぎりでも飛行機飛ばす航空会社がいると「やめてくれよー!PAXから他の航空会社は飛んでるじゃねーかってクレームされるよー!」って恨みます。
全てが終わると「予約課も営業もさっさとクローズして全然協力してくれなかった!」と会社をまたいでグランドスタッフ同士が市内支店のグチを言い合います。
あーバカらしいバカらしい、と思いながらも「それでも空港職を離れられないこの気持ちはなに?」と自分の人生とキャリアに思いを馳せます。
外資系航空会社の管理職でしたが、航空会社辞めてから台風がきてもまず家と家族の心配ができることが幸せです。