「ゲイ」という監獄

俺はゲイです。
ゲイという監獄の中で、ホモという手枷足かせをかけられ、同性愛者という烙印から自由になれません。
勘違いされたくないのは、俺は決して自身が男を好きになること、男と寝たいと思うことを恥じてはいないということ。
むしろ、そんな自分にプライドを持っています。
そして、そのプライドこそが、ある意味で監獄であり手枷足かせであり烙印なのです。
あなたはゲイですか?という質問に、俺はイエスと答えます。
ホモですか?同性愛者ですか?
全てイエス。
でも、本当はノー。
俺はゲイでなければホモでも同性愛者でもなく、遊己という一人の人間なのです。
俺の中で、ゲイという言葉に合致する部分があるのは間違いありません。
でも、ゲイであることは俺の全てではないし、ゲイという枠からはみ出しているところもあるかもしれない。
そもそもセックスの仕方やら好みやら恋愛観は十人十色で、一言で完全に言い表せるはず、ないですよね。
もしかしたら、自分と全く同じセックス観、恋愛観のひとは世界にいないのかもしれない。
でも、人間って言葉で考え、言葉で物事を見るから、どうしても言葉から自由になれないんですよね。
俺は、「ゲイ」「ホモ」「同性愛者」という言葉を知った時、自分をその言葉の牢獄に押し込んでしまったのです。
ゲイらしいセックス、ゲイらしい恋愛。
過食症(摂食障害)の人って、過食症と診断されて病名がつくと、「自分は過食症だから、過食しても仕方ない」という論理が自分の中でできてしまって、逆に病気にハマりこむことがあると聞きます。
まさに、大学時代の俺はその状態でした。
過食症でメンタルクリニックに通っていたのですが、いっこうに病気は改善せず。
ゲイはもちろん病気ではないけれど、そのように「自分はゲイだから」という論理で自らを縛ってしまうという部分では同じ。
俺は、ゲイに生まれたのではなく、ゲイになったのです。
ゲイという言葉に出会った時から、俺はゲイになったのです。
本当なら女性と恋愛することがあったかもしれない、誰とも恋愛しなかったかもしれたい、誰も彼もと恋愛したかもしれない。
でも、ゲイという言葉に出会い、それを自分に当てはめてしまったことで、俺はゲイになったのです。
俺はときに意識的に、ときに無意識に「ゲイらしい」男になっているのです。
それはいわゆる「ゲイらしさ」とは必ずしも一致せず、俺の頭が理解する「ゲイらしさ」なわけですが。
ストレートの友人の前では、彼らのイメージするゲイ像に合致するよう振る舞ったり、ね。
それは意識的な部分ですが、無意識にも同じことをしているのです。
他の、「ゲイ」を名乗っている人たちはどうなのだろう。
本当の意味で自分らしく生きているのかな。
俺のように「ゲイ」という言葉に呪縛されていたりはしないのかな?
この呪縛は、きっと必ずしも悪ではないんですけどね。
ときには自分を守る鎧にもなるから。
大学時代、フェミニストの指導教官に「あなたは自分がゲイだということに頼りすぎている」と言われたことが、強く記憶に残っています。
それが、まさに、監獄の中で手枷足かせに絡まれ縛られ動けなくなっている俺の現状をよく表していると思います。
俺はたぶん、一生この監獄からは出られない。

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4 Replies to “「ゲイ」という監獄”

  1. 深いですね・・。
    考えさせられました。
    俺もそういう側面があると思います。
    その本当の答えが分かれば苦労はしないんだろうなって。^^

  2. > ノブさん
    あぁ、自分は檻の中にいるな、ってことは薄々わかるんですが、檻から出た自分の姿ってわからないですよね。
    難しい。。。

  3. 初めまして。理星人と申します。ブログランキング1位の記事って、どんな内容が書かれているのか恐れ多い事ながら知りたくて、偶然読みました。
    ゲイと名乗ること、レッテルを貼ることが自他双方向から自縄自縛になってしまうという洞察に、とても共感しました。
    自分もゲイランキングについ最近参加し始め、自分の属性を誇示しすぎていたかな…と反省です。
    しかし同じ志をもつ方と出会えたことは、うれしかったです。またお邪魔します。読ませていただき、ありがとうございました。

  4. > 理星人さん
    コメントありがとうございます!そして、返信遅くなり申し訳ありません。
    自己のレッテル貼りは、ブログの最後にちらっと書いたように自分を守る鎧にもなるので、一概に悪いとは思わないんですけどね。
    人間、結局、何かに名前を与えるということ自体、ある意味ではレッテル貼りにつながっているのかも、とも思いますし。

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